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2025.10.18
建築費が高騰した今、実家が所有する土地に建てるという選択肢がずいぶんと現実的なものになってきたかと思います。
ですが、その選択肢の中で使っていない木造の古い家がある場合、それを全改修した方がいいのか、あるいは建て替えた方がいいのか、という疑問を誰もが感じられると思います。
もちろん、その答えは一概にこうだと言えるほど簡単な問題ではないのですが、いずれにするかを判断する上で最も大切だといっても過言ではない「金額面」のことについて、今回はお伝えしていきたいと思います。
まず、木造住宅の全改修と建て替えとで大きな違いが出ることが、「地盤調査を行うか否か」です。
「建て替え=新築」の場合、瑕疵担保履行法の定めにより必ず家が建つ位置で地盤調査を行わなければいけません。
それに対して、全改修の場合、基礎を残す形になるので調査を行うことが出来ないからです。
そのため新築の場合は、地盤改良工事費用が別途でかかる可能性があるのに対し、全改修の場合は調査そのものが出来ないため、これが発生する可能性がありません。
続いて「解体費」についてです。
これに関しては、全て壊すよりも基礎や主要な構造部(土台・柱・梁)を残しつつ耐震や断熱の補強を行なっていく全改修の方が、処分するものの量が少なくなります。
そのため、一見全改修の方が安くなりそうなものの、一気に解体していける建て替えに比べ、主要なものを残しながら解体するという手間がかかります。
職人さんの手間がかかることから手間代を相殺すると、案外どちらも変わらないのかもしれません。
建築費に関しては、材木にかかる費用が新築に比べて抑えられることから、安く収まると思います。
ですが、同じように残す基礎に関しては、古い家である場合、立ち上がりしか基礎がないため(布基礎であるため)、耐震強度を高めると同時に、地中から上がってくる水蒸気を防ぐために新築の家同様にベース部分にも鉄筋を入れつつコンクリートを打たないといけません。
また、そのために家の下にある余分な土を処分しないといけません。
さらに、間取り変更の場合などは新たに柱が立ち、壁が出来る所に追加で基礎をつくることなどの工事が必要となるので、実質新築と同等に費用がかかると思っていただいて良いぐらいではないかと思います。
以上が新築と全改修を比べた場合の金額的な差異となるのですが、
結論を申し上げると、新築の場合とそう大きな差異が生じないのかもしれません。
そのため、よほどその建物に思い入れがない限りは、間取りを大きく変えたいとお考えの方や不安な耐震の強化や不快な断熱の強化を図りたいとお考えの方は、建て替えという選択肢の方がいいんじゃないかと思っている次第です。
そして、古い家を使う際に注意して見ておきたいことが、軟弱地盤による建物の傾きです。
地盤調査を行い、必要な場合改良工事を行う上、立ち上がりだけじゃなくベースにまでコンクリートを打ちます。
現在のベタ基礎の場合、軟弱地盤によって建物が傾くことはほぼありませんが、立ち上がりしか基礎がない昔の建物は軟弱地盤の影響をモロに受け、建物が傾いている可能性がかなり高いからです。
そして、傾きが酷い場合、基礎に大きな亀裂が入り、かつ亀裂に前後のズレが生じていたりします。
もちろん、こんな場合は、その基礎は到底使えるものではないため確実に建て替えした方がいいんですけどね。
というわけなので、実家にある古い家の全改修か建て替えかを悩んでいる方は、まず家に傾きがないかを調べていただき、傾いているなと感じた場合、基礎に大きなクラックとズレがないかを見てみていただければと思います。
その上で、使えそうなら全改修と建て替えを両輪で検討していただくといいかと思います。
(追伸)
固定資産税に関しては、全改修をした場合、どれくらい評価が見直されるか分からないのでここでは割愛させていただきました。
それと、全改修の場合、現在は補助金があるのですが、これもタイミングによって変わるのでここでは割愛させていただきました。