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2025.5.10
「収納は多いに越したことはない」
収納が足りず部屋に物が溢れている状態を想像すると、あっさりこういう結論に至ってしまいがちです。しかし、収納を多くつくると、建築コストも上がってしまうため(家の面積が大きくなるから)単純にたくさんつくればいいというわけではありません。
また、人は「隙間があればそこを埋めたくなる」という習性を持っているため、
たとえ収納をたくさん作ったとして、その余白に合わせて物を増やしてしまう可能性が高いことから
収納のつくり過ぎにも注意した方がいいかもしれません。
というわけで今回は、「収納」に対する弊社の考え方についてお伝えしていきたいと思います。
これを覚えていただくと、不用意にコストを上げることなく充分な収納量を備えたお家を建てやすくなると思うので、知識アップのために最後までお付き合いください。
その収納にどれだけの物を納めることが出来るかは、床の多さよりも壁の多さに大きく依存します。
例えば、2帖という収納は 1m69cm×1m69cmという広さですが、この収納は壁をどう使うかによって収納の分量が違ってきます。
全部で4面ある壁のうち、2面しか使えないように入口をつくった場合、1.69m×2面=3.38mが棚1段あたりに置ける分量です。
ですが、これを3面使えるように入口をつくった場合、1.69m×3面=5.07mにまで棚1枚あたり置ける分量が増えますからね。
ですので、収納を考える時は、単純に広さだけを見るのではなく、その壁をどれだけ有効活用出来そうなのかに着目していただければと思います。
それさえ出来るようになれば、ある程度正確に収納の容量が把握出来るようになるのではないかと思います。
そしてこの考え方を知っていただくと、回遊動線(グルグル回れる通り抜け動線)がいかに収納に悪い影響を及ぼしやすいのかをご理解いただけると思います。
通り抜けられるということは「その通路に面した壁を全く使えなくなる」ということだからです。
先程の2帖の収納の場合で考えると、4面ある壁のうちたった1面しか使えなくなるということになりかねません。
つまり1帖の収納と同じだけの容量しかないということです。
2帖という広さは1帖という広さよりも30〜40万円も多くコストがかかっているというのに、です。
そんなわけで回遊動線に関しても、便利そうだというメリットだけに着目するのではなく、その裏にこんなデメリットがあることもご理解いただければと思っています。
さらにこの考え方は、収納だけじゃなく部屋でも同じことが言えます。
4面ある部屋の壁のうち、1面には入り口のドアがつくとして、もう1面にクローゼットをつくり残りの2面に窓をつくってしまったら、その部屋には全体を使える壁がなくなってしまうからです。
結果、物の配置が難しくなるし、模様替えをする余地もなくなるし、コンセントの位置もかなり限定されてしまいます。
ですので、間取りを考える時、いかに壁を多くつくるのかを弊社では意識しているというわけです。
壁が増えれば収納が安定するだけじゃなく、耐震も良くなるし断熱効果も良くなりますしね。
もちろん、そのためには最小限の窓で採光と風通しを確保出来る間取りにしないといけません。
というわけで、最後は少し話が脱線しましたが、
とにかく収納は「床」ではなく「壁」が重要であることを
ぜひ知っておいてもらえたらと思います。
藤井